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なるほどと野うさぎは聞く体制から体を戻した。
「小論文になりそうな話でした。本格的に論文にして発表してほしいくらいです」
「今のところ親のモデルの仕事してた方が気が楽だし金銭的に苦労もしていない。ただの趣味で十分。本、借りていくよ」
クロエはモヒートを飲み干し、本を入れる為の折り畳みのトートバックを小さなカバンから取り出した。
「返却は何時でも結構ですよ。今のところその類は誰も読まれてませんから」
野うさぎはパソコンに貸し出しのデータを保存した。
「クロエさんは私をどう見えますか?」
帰り際、野うさぎがクロエに聞いてみた。クロエはチラリと前髪を分けてみた。
「…それは言わない方が良いんじゃない?あんたは真実を見せたくないでしょ」
「ご名答」
野うさぎは冷静に答えた。
19時半に家に帰宅し、ドアを開けると飼い猫が玄関でお迎えしてくれていた。
「ハガネ、ただいま」
クロエはハガネに一撫でし、スリッパに履き替え上を向いた瞬間、目の前に鋭利なものと人影が見えた。
「おかえり、クロエ」
クロエはただいまの代わりにその鋭利なフォークをへし曲げ、玄関横にあるボックスに放り投げた。
「ジェレミ、人が帰ってくるなりにフォーク突き刺すの辞めて」
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