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彼女はバスのドアの開く音に気づき、荷物をまとめて慌て急ぐ。
綺麗な歌声を聴かせて貰ったお礼に
バスに乗り込むまで傘をさして上げた。
また雨に降られるなんて可愛そうだと思ったんだ。
「ありがとうございます」
こちらを向くことはしなかった。
前に誰かがいたわけでもなく彼女は前に深くお辞儀をした。
「あ、いえ…また」
また…一体僕は何を言ってるのだろう?またなんてないかもしれない。
でも「また」その歌声を聞きたいと思ったんだ。
少女杖でつつきながらすたすたと恥ずかしがりながら駆け込む。
今では名前も知らない少女だったけど
雨の日になると思い出す。
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