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「うおっ!!」
その時、違反車両の男が右手を窓から出してきて、銃を撃ってきたのだ。
「ははははは!!てめぇら国家権力の犬になんか捕まらねえっての!!!俺様の華麗なドライビングテクニックを見せてやるよ!!」
「おいおいおいおい、なんつーことするんだよ。これの修理代、あいつがもってくれるんだよな?」
「特殊フィルムで加工された防弾ガラス。あの人、ちゃんと保険入ってるのかな?」
「この喧嘩に乗らなかったら男じゃねえよな!俺ぁ買うぜ!!」
「ああ・・・本当にもう止めてよ。まじで吐きそう」
「吐いてもいいが、あいつ捕まえた後でな」
男が自慢気に話していたテクニックとやらで逃げようとも、運転席にいる車酔いが激しい男はなんなく付いて行く。
そして助手席で笑っている男は、リボルバー式ではない銃を取り出すと、利き手でない左手に持って照準を定める。
カーブの多い道ではあるが、ずっとぶっ飛ばしているだけあって速度は安定気味。
後は奴の車が正面に来るタイミングを待つだけだった。
そしてその時がくる。
「大人しくしてりゃあ、速度40キロオーバーの違反だけで済んだのになぁ」
カーブを抜けた先に待っていた、ほんの少しの直線部分に差し掛かると、助手席の男は銃を撃った。
その銃弾は前を走る車のタイヤに見事に命中し、車はハンドル操作ではどうにも操れなくなってしまい、そのままガードレールに激突して止まった。
しゅうう・・・と煙を出している車から少し離れた場所に車を停めると、追っていた男たちは逃げていた男を捕えるために車を下りて近づいた。
運転席を開けると、中から男が銃を撃ってきた。
「元気なこって」
頬を掠めた銃弾は空に向かって飛んで行くと、素早く男の腕を捕えて車から引きずり出し、腹に膝で蹴りを入れる。
手に持っていた銃を回収すると、助手席に乗っていた男がもう1人の男に手錠をかけておくようにと伝えた。
「おっ」
トランクを開けてみると、そこには大量のジュースが入っており、数個、破損してしまったものの中身が、男の黄色のネクタイにかかってしまった。
「これから花見でも行く予定だったか?」
「相裏、応援が来たみたいだ」
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