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 オレが十七、キャロルが十六のころになると、すっかり魔法も上達して、キャロルを後ろに乗せて村周辺を飛ぶくらい朝飯のサンドイッチ前だったね。  このころになると周りも大人になったし、オレも実力が少しはついて来たのもあってバカにされなくなった。  ──別のことで冷やかされたり、からかわれたりは日常茶飯事だったけど。  何って言わなくてもわかるだろ。  女の子後ろに乗っけて飛ぶのが日課の、男の魔法使いへの野次なんて。 「どうしたの、シキ?」  オレが黙ってるのをヘンに思ったキャロルが後ろで首をかしげている。見えないので仕草は推測だが。 「最近元気ないよね」 「いやお前に比べたらオレなんか不死身だろ」 「空なんか簡単に飛べるようになったもんね。本当はこんなちっちゃい村出てさ、大きな世界をホウキで旅したいよね」   キャロルは頭の中で妙なストーリーを展開する悪い癖がある。多分家にこもりがちで勇者が魔王を倒す冒険譚とか、童話ばっか読んでたせいだと思うけど。  この前も村の女の子にホウキに乗せてって頼まれてるとこ見られただけで、『病弱なわたしが死んだ後支える女のフラグ!』とか妙な事口走ったし。  もちろん断ったんだけどな。オレの後ろに乗っていいのは、地面スレスレを飛んでた頃から褒めてくれたキャロルだけだ。
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