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「うわー! すごいすごーい! あのこ、そらとんでるー!!」
タンポポで花かんむりを作ってる女の子のグループから、いきなり一人、枠からはみ出すみたいにこっちに走って来た。わずか数メートルでへばってて、オレに近づく頃にはもうほとんど歩きだったけど。
はしゃいだせいでいつもきれいに編んであるおさげがボサボサになってたけど。
「ねえねえ、それどうやってるのー?」
「それは……まあ、こう、ホウキにのってトリャー!ってやるかんじ?」
女の子がはみ出して来たグループの女子たちがこっちを見てるのがわかった。女子はオレの事そんなバカにはしなかったけど、まあ関わってこようとはしなかったな。
オレほどじゃないけどバカやるやつが一定数いなくもない男と違って、女子ってのは大体群れてみんなと同じにしたがるからな。
病弱だったキャロルは、たまに調子がいいとき親切な女の子のグループと遊んでもらうくらいだったから、多少そういう暗黙の了解みたいなのがわからなかった節がある。
オレにとってはその空気微妙に読めてなかったとこが結果的に良かったわけだが。
「いいないいなー、わたしものりたいなー、のせてのせて!」
「え! ……あ、いい、けど……」
自分一人でもまともに飛べないくせに、この時のオレときたらまあ見栄っ張りだったね。
でもキャロルって家の中閉じこもってて、外で遊ぶしかない、田舎の村で日焼けした他の女子と違って肌真っ白だったしさ。
少しばかり目立つ、知らない女の子に身の丈以上のいいカッコしたくなる気持ち、ちょっとはわかってくれる人もいるだろ?
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