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その時、内線が鳴り出しました。
校内にいるのは、私たち2人だけなのに、内線が鳴るなどありえないのです。私たち2人は、顔を見合わせました。お互い恐怖でひきつった顔をしていたと思います。
相手は先輩。私が内線に出るしかありません。私は、けたたましく鳴る内線へ恐ろしい気持ちと葛藤しながら、走りました。
もしかしたら、忘れ物をした先生が来て、電気をつけてくれ。という内線かもしれない。と、期待を胸に抱きつつ受話器を取りました。
「もしもし。職員室です。」
電話の向こう側からは応答はありません。
ツーツーという音すらせず、シーンと静まりかえっているのです。
いよいよ恐ろしくなって、もう1人の先生に状況を話し、一刻も早く帰ることを提案しました。
2人で帰り支度を急いで済ませ、玄関へと向かった時、
「なにこれ!」
先輩先生は、床を指差し、口を押さえ恐怖に震えていました。
恐る恐る、先輩の指差す方に視線を向けると、そこには、血のついた足跡のようなものが点々と付いていました。
しかも、明らかにその足跡は大人ではなく、小さな子どもの付けた足跡のようでした。
「ひぃ。」
私は、悲鳴にならない声を出し、急いで玄関を出ました。
玄関から誰かが入ってくる気配など全くなかったことを先輩と確認し、2人で半狂乱になりながら帰りました。
次の日、出勤したときには、もう足跡はなくなっていました。誰かが片付けてくれたのだろうと思い、昨日の出来事についてを色々な先生に話したのですが、私と一緒にいた先生以外に誰一人、その足跡を見かけたという人は見つかりませんでした。
私が体験したのは、一体なんだったのでしょうか。
あれから、他の学校に転勤しましたが、今の学校では、怪談話の噂が立つことも、不思議な体験をした話も一切聞きません。
「火のないところに煙は立たない。」
と言いますが、噂の立つ学校には、それなりのなにかがいるのかなと、感じた体験でした。
あなたの学校には、おかしな噂はありませんか?
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