叫ぶ平凡

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保健室へ辿り着くと、優太は漸く甘凱から解放されるという安堵の息をこっそり吐いた。 が、こっそりの筈が、しっかりと甘凱には聴こえていたらしく「チッ」という小さな舌打ちと共にギロッと睨まれた。 案の定、またまた縮こまってしまう。 「さぁ、消毒するから椅子に座ってね」 そうして同じ男の腕の中で小さくなっていた優太は、真鍋の声に再び救われて表情をパアッと明るくした。 とにかく早く下ろして欲しい。 この機嫌の悪い男に、いつまでも抱かれているのは耐えがたい。 真鍋の手前、猫を被っているのだろう。 先程とはうってかわって甘凱は優しく優太を椅子へと下ろした。 とはいえ、さっきの扱いは忘れはしない。 まだ尻がズンッと痛いのだから。 おまけに頭もまだ痛い。 そんな事に意識を取られていた優太は、次の瞬間泣き叫んだ。 「いぎゃーーーーーーーーー!!!!!!」 もの凄く染みたのだ。 両手をバタバタさせて次には震わせて、今度はグーにして痛みに耐える。 痛い痛い痛い痛い痛い!!!!! 昔から痛みに弱い優太は、高校生になっても弱かった。 それが今回は大きくなって初めて位の怪我だったのだから仕方ない。
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