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何故急にこんなことを思ったかというと、目の前の相手に理由はあった。
グッタリとして顔の見えない女ではなく、相手の男の方が原因だった。
男の顔と名前は、学校という狭い世間でさえも知らないことだらけの優太でも『嫌でも耳に目に入ってしまう相手』だったからだ。
甘凱永久 《とわ》。
優太と同じ二年生で、隣のクラスの学校一有名な男だった。
「…えっと…」
我に返った優太は、なんとかしようと口を動かしたものの実際にはパクパクと開いたり閉じたりしただけだった。
顔を真っ赤にして棒立ちの優太に、甘凱は爽やかに笑顔を向けた。
「お子様にはまだ早い」
そう言ってドアを閉めてしまった。
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