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「…っ」
洗おうと震える手で水を掬って、傷口へ少しだけ水をかける。
「さっさと洗えよ」
「ヒギャーッ!!!!!」
すると突然、傷口に水を遠慮なく大量にかけられて優太は痛みに悲鳴を上げた。
痛くて体を固めた優太に甘凱は、その後もドバドバ水責めをしてくる。
水は染みるし、傷口へ勢いよく掛けられて刺激で痛いしで声にもならない。
「うぅぅー…はぁぁぁっ」
情けない声を吐き出しながらその場にとうとう蹲ってしまった優太に、甘凱は蛇口を捻って水を止めながらこう訊いてきた。
「お前。名前、何?」
見上げた甘凱のその表情は、たいして興味無さそうに見えた。
しかし、よく見るとその目は、肉食獣が獲物を見つけた時のそれに思えて仕方がない優太だった。
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