救いの声

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答えたくない。 何故なら名前を知られると、悪魔と契約することになる…と、ネットか何かで聞いたことがある。 まさに目の前に居るのは、王子様に化けた悪魔と言っても過言ではない。 見た目爽やかで甘いマスクの美形。 モデルでパリコレに出てても不思議ではないし、どこぞやの俳優なんて霞んでしまう。 その美声で囁かれて腰を砕かない女性は、ほぼ居ないと断言できる。 そんな男が、実は性格がこんな悪魔だなんて。 女の子たちは知っていて、つきあっているのだろうか? だとしても、自分は無理だ。 ご遠慮願いたい。 なので名乗るつもりはない。 「…いやだ」 「あ!?」 「ヒイッ」 ポソリと呟けば、聞き取れなかったらしい甘凱がドスの効いた声で短く問い返してくる。 優太は、条件反射でビクッと体を揺らしてしまった。
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