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「バレた! 誰かがチクりやがったんだ!」社長の怒声が部屋の隅まで響く。真っ赤な額を上気させ、ジャグラーを睨む。「貴様が裏切ったんだろう!」
女たちがくすくすと笑う。それが社長の神経を逆撫でた。再び怒声を発しようと口を開けた。
だがジャグラーは冷静だった。
「落ち着けよ。笑い話なんだからオチまで聞かなくちゃな。さて。首切りショーの計画をお漏らししちゃった子は誰だったの?」
「だからっ」
「答えはそう。社長本人だったのです」ジャグラーは床に転がったボール状の物体を拾う。先ほどまでジャグリングしていた物体だった。「ったくよぉ。俺があんたの部下なら、そんな社長クビにしちゃうね」
それを掲げ、社長と目を合わさせる。
「ひっ……」かつての商売敵の、色を失った表情が、濁りきった瞳が、社長を見つめていた。「う、嘘だ。……そんなわけがあるか、俺のせいじゃないぞ」
それでも生首は社長を追い詰める。
「ショーの前日、高ぶった気持ちを抑えるために酒を飲んだ社長は酔った勢いで女を抱きました。余計に興奮してしまった社長はついつい喋りすぎてしまったのです」
社長の顔がみるみる青ざめていく。
「その女が通報したんだ。あんたと別れた今朝がたヤードに駆け込んでいったぜ」
それを聞いた社長は青から赤へ目まぐるしき変貌を遂げた。
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