1. 始まりは、地に落ちた雪のように

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 我を失い震える事しか出来ずにいるスノーフィリアを、ルリフィーネが強引に担ぎあげる。  そして素早い身のこなしと群集のごたごたに紛れながら、悲劇の渦中にいる姫君の命を狙う者達の追撃を掻い潜ってゆく。  かつて他国で体術を習得していた事と、参加していた貴族達が無秩序で逃げ惑った事もあり、水神の国の姫とその使用人は婚約の儀が行われた部屋を抜け、追っ手を上手くまく事に成功した。 「ここは……、宮殿の裏?」 「はい、普段は使用人の出入り口として使われている門です」  そしてスノーフィリアが自身を取り戻した時、日ごろ水神の城で仕事をしている使用人や兵士達の出入りに使っている小さな門のある広場へ到着する。  元々関係者しか知らない場所であり、仕事をしていた他の使用人達が逃げ遅れたせいもあってか、今は二人しか居ない。  とりあえず、ごく僅かな一時の安全と姫君の意識が戻ったのを確認したルリフィーネは、スノーフィリアをその場で降ろすと、乱れていたホワイトピンクアッシュの長い髪を手ぐしで解き、歪んでいたカチューシャを整える。 「ねえルリ! 何故こんな事になってしまったの!?」     
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