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婚儀の時も、それ以前も、ずっとコンフィは幼い新婦に対して寛容だったのに……。
今のコンフィの厳しい態度には明らかな温度差があり、スノーフィリアもそれを感じずにはいられなかった。
「早速だがスノーフィリア殿、そなたに重大な知らせがある」
今まで見たことの無い厳しい表情の前に、スノーフィリアは思わず目を逸らそうとした時だった。
コンフィはいつもよりも声のトーンを低く抑えながら、何も知らない姫君にゆっくりと話して伝えようとする。
「国王陛下の件もあり、まだ十歳になったばかりの少女に伝えるには心苦しいのだが、今から伝えることは君の今後にも関わる重要な内容であるからこそ敢えて言おう」
「はい。なんでしょうか?」
「君との婚約は破棄させてもらう」
婚約破棄。
それがどういう意味を持っているのか、そしてどうなってしまうのか。
十歳でありながらも王族として過ごしてきたスノーフィリアには容易に想像できてしまい、ガラスが砕け散る時のような音と衝撃が頭の中を駆け巡る。
「どうしてですの!?」
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