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「国王と王妃の両方が亡くなられ、今まで水神の国を統治していたアクアクラウン一族は急速に力を失った。それと同時に国家の上層部は大きく再編されて、新たな役人達によってスノーフィリア殿は現在の地位を剥奪されたのだ。何も持たない少女を娶って私に何の得がある?」
スノーフィリアはその答えを聞き、愕然としてしまう。
「まさか、愛情や絆を信じていたのかね?」
「……結婚とは、互いを認め合い、互いを支えあう事を愛する者同士の前で誓い合うもので――」
「年の差もある。出自や門地も違う。これだけ価値観が合わないのに?」
「そ、それも時間さえかければ……!」
「時間をかけても埋まらぬ物はある」
「だって、ルリやお父様やお母様がそう言っていた、だから私も信じてた……」
スノーフィリアもこの結婚が政治的な物である事くらい薄々と感づいていたし、それでも国の為、自らが姫である為に成さなければならないと、幼いながらも覚悟を持っていたつもりだった。
ただそれでも……、そうだとしても。
長く過ごしていけば、夫婦生活を続けていればやがて気持ちは本物になると思っていた。
私に勉強を教えてくれた専属の教師も、宮殿で働く使用人や執事も、ルリだって……。
みんなみんな、一部の例外も無く全員がそう言ってたのに!
だから安心していたし、受け入れようと自分の気持ちを変えようと頑張ったのに!
それを否定するなんて……。
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