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「新しい使用人だ家政婦長、彼女にここの仕事を教えてやってくれ」
どういう事なの……?
わ、わたしがここで働く……?
「かしこまりました。失礼ですが彼女の名前は?」
「うーむ……、今の名前では確かに”不便”で”煩わしい”か」
私の名前が不便で煩わしい?
何を言っているの……?
「彼女はユキ、ただの平民出身の少女だ」
「そんな! 使用人だなんて……。 それに私はユキなんて名前じゃない!」
「さあ、こっちへ来なさい」
名前を知った女使用人は、スノーフィリアに部屋から出るように促す。
しかし”ユキと命名された元姫君”は、自らを否定された事が許せないまま、また気持ちの整理もつかないままコンフィに強い口調で問いかけ始める。
「私は……、私は水神の国の王女、スノーフィ――」
自らの地位と存在を必死に訴えようとしたが、本当の名前を伝えようとした瞬間、女使用人にスノーフィリアは頬を勢いよく叩かれて声も遮られ倒れてしまった。
「旦那様、お騒がせ致しました」
「ああ、かまわないよ。私はもう休む、後は任せる」
「かしこまりました」
その行為は、普通ならば例外なく民衆から糾弾されるべき出来事だった。
女使用人は遠縁の親類まで断頭台に上らなければならないだろう。
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