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「しかし、あの漁色家で有名なコンフィ公を婿に迎え入れるとは……」
「これ、殿下の御前で滅相な事を言うでない」
これから二人は誓いを交わして永遠の伴侶となる。
本来ならば無条件に祝福される儀式のはずだったが、一部参列者は良い反応を示さなかった。
その理由はいくつかあった。
一つ目は、婚約に至るまでの期間の短さと互いの関係の深さ度合い。
この婚約は短期間に決められ、新郎新婦がお互いの事を”存在している”程度でしか知らない。
そのせいで、冷たい政治的な印象が強いのである。
二つ目は年の差。
新郎のコンフィは三十代後半だが、新婦のスノーフィリアは今年で十歳になったばかりである。
政略結婚とはいえ二十以上も離れており、かつ新婦が成人の儀を終えていない少女という組み合わせは、長い水神の国の歴史上初めてだった。
三つ目は新郎の素行の悪さ。
新婦であるスノーフィリアは水神の国の姫君で、王位継承権を持つ正真正銘の王族である。
物腰も王族としては柔らかく、いかなる階級や位の人物にも分け隔てなく接するお陰か、身分や年齢や性別を問わず人気が高い。
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