2. 雪解けて雫となり、姫は新たな生の祝福を受ける

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 そんな静寂と今までされてきた仕打ちのせいで、心中は形容しがたい負の感情で満たされていた。 「あなた、魔術は使えるの?」 「……はい」  この世界における魔術はそこまで珍しいものではなく、適正の有無はあれど身分や年齢に問わず扱う事が出来る。  スノーフィリアもその適正があり、かつ王族や貴族の間では魔術が使える事がひとつのステータスにもなっている事から、手から小さな炎を出すといった日常生活で使えそうな簡単な魔術は他の学問と同様に習っていた。 「なら、仕事に支障はなさそうね」  もっとも、王族であるスノーフィリアがそれを行使する事は稀だが、これからはそれを使わなければならないようだ。  これからの話をしながら屋敷の廊下を抜け、階段を下りていった先の部屋へ到着する。  部屋の中は蝋燭のともし火しかないせいか、使用人が着ているピナフォアと呼ばれる襟と袖以外は黒色のワンピースと、白のフリルをあしらったホワイトブリムと呼ばれるヘッドドレスが複数かけられたクローゼットくらいしか見えなかったが、スノーフィリアはここが屋敷で働く給仕達の部屋である事を理解する。 「その”みっともなくて小便臭い”格好では仕事も出来ないから、まずはこれに着替えなさい」     
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