1. 始まりは、地に落ちた雪のように

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 スノーフィリアはそんな悪い噂が聞こえなかったのか、はたまた気にしていないのか、表情を一切変えずうっすらと笑みを浮かべたまま、何気なくこの祭事に参加している人々を見る。 「あれ、あの方は……?」  立場上、祭事や園遊会、パーティの類には昔から数え切れない程参加しており、たとえ今回がイベントの当事者、かつ自身にとって特別な日であったとしても見慣れた風景に変わりは無い。  事実、参加者の多くはほぼ固定されており、スノーフィリアが知っている顔も多い。  そんないつもの光景の中で、ふと目を留めた。 「姫……、あの女性が気になるのですか?」 「ええ。とても綺麗な方ですし、変わったデザインのドレスを着ておられますね」  スノーフィリアの目線の先に居た少女。  年齢は一回りくらい上だろうか。  腰まである長い黒髪は綺麗に切り揃えられており、釣り目とも垂れ目ともいえないスカーレットの瞳には強い意思が宿っている。  服装はスカートや飾り帯は良くみるドレスのシルエットと同じだが、大きく広がった袖の上着やドレスの柄はスノーフィリアが今まで見た事がない物だった。  しかしそれらが奇妙なまでにマッチしているのは、着ている人の見た目のせいなのかもしれない。 「彼女をお呼びしましょう」  姫の興味に答えようとコンフィは、笑顔のままそう言いながら傍にいた召使いへ目線で合図する。     
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