48. 転機は急に訪れて

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48. 転機は急に訪れて

「どういう事……?」 「おかしいわね……、サクヤの情報が間違ったのかしら……」  ブカレスの予想外の発言に、衝撃が走る。  サクヤやハーベスタの言葉を信じて疑わなかった新世界のメンバー達は困惑し、動きが完全に止まってしまう。  たった一人を除いて。 「ブカレス様! 本当に良かったです、あなた様が組織の一員じゃなくて」 「ルリ、心配をかけましたね」  皆が硬直している中、ルリフィーネはブカレスへと抱きつき、潔白である事にとても喜びを示す。  ブカレスはそんなルリフィーネに対し、ただ笑顔で迎え入れて彼女の頭を優しく撫で続けた。 「じゃ、じゃあ審問官は?」 「お恥ずかしい事ながら、正教も一枚岩ではないという事でしょう。我々の方針はどの国家や組織にも肩入れをせず中立を保つ事、ですがそれを良しとはしない人々もいるというわけです」  ユキを襲った審問官は、少なくとも大主教とは関係が無い。  そうなればブカレスが組織の一員というよりかは、正教の中に組織の息がかかった人間が居て、審問官がそうだったと考えて間違いはないだろう。 「でも、あなたが私の殺害を命令したと……」     
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