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「彼らがどのような目的で動き、何を目指しているかは未だ知れませんが、この世界を混迷させるものであれば、正教も看過はしておけません」
「じゃあ、私達に力を貸してくれるの?」
「審問官の件もありますし、組織の活動を抑止する一手となりうるかもしれませんし、”王女”のユキ様やルリの願いともあれば、私もぞんざいには扱えません」
意外な流れに全員は戸惑いを隠せずにいる最中、錯覚の魔術でごまかしているユキの正体がばれている事を聞くと、ユキは思わず身をすくませてしまい、雪宝石のペンダントをぎゅっと強く握り締める。
正教は審問官騒ぎの一軒でスノーフィリア姫が生きている事実を掴んでいた。
そしてサクヤ邸で起きたオルクスとの一戦を見ている者が居れば、わずか二つの事実からユキがスノーフィリア姫である事が解ってしまう。
しかしそれ以上に問題なのは、正教がその情報を掴んでいるという事は、規模が同等かそれ以上であろう秘密結社トリニティ・アークも恐らくはユキの正体を知っているであろうという事。
ユキの心中は、大嵐の只中に漂流された小船のごとく、大きく揺られてしまっていた。
「ですから、改めてこちらから聞きましょう。何か知りたいですか? 正教で調べた範囲でよろしいなら答えましょう」
「話がわかるじゃない。じゃあ総帥の名前とかどうかしら?」
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