48. 転機は急に訪れて

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 そんな存在が堂々と表に出るなんて事はありえないにしても、今まで数々の大貴族や王族と出会ってきたユキやルリフィーネ、比較的人生経験が豊富なマリネやくろですら知らない事実に、場の空気が奇妙な感覚に包まれてしまう。 「まあ、名前はサクヤやハーベスタに聞けば何か有用な情報が聞けるかもしれないから、とりあえずは置いといて別の事を質問しましょう」  この場に居る人々からでは、総帥の名前以上の情報を引き出す事が出来ない。  新世界のアジトへ戻れば、貴族として交友関係の広いサクヤや、マリネ以上の年を重ねているハーベスタならば何か解るかもしれない。  そんな思いを各自は胸に留めながら、次の質問へと移る。 「あの、こんな事を聞いてもいいか解らないのですが……」 「王女殿下、私に答えられる事でしたら包み隠さずお答え致しますよ」 「組織に改造されてしまった友人を救いたいんです。改造前に戻すような、何か良い方法はありませんか?」  ココは御用商人にジョーカードール・アーテスタと呼ばれていた。  セーラちゃんもジョーカードールと自分で呼んでいた事から、ココもセーラちゃんと同じ様になってしまった。  ココの手は綺麗な絵を描くためにあるものであって、決して人を傷つける為じゃない。  これ以上間違いを起こして欲しくない、だからココを戻したい。 「改造と言う事は……、噂の人体兵器ですか?」 「はい」  そんな願いでユキは、ブカレスへと質問する。     
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