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ブカレスの表情は険しく、どこか暗い。
「残念ながら、一度でも接合したアーティファクトを切り離す事は、その少女の命を絶つと同じ意味」
「ココ……」
もう、戻らないの?
ココはもう、普通の女の子にはなれないの?
一緒に笑ったり、おしゃべりしたり、絵を描いたり……。
ココは何にも悪くないのに、私が苦労するのは王女としての生まれながらの宿命があるからいい!
でも、ココは私と違って自由な人生を送れた!
送るはずだったのに!
「これは確証が無く、あくまで伝聞なのですが……」
やりきれない思いと、理不尽な現実が心中を交差する。
そして、ユキは深い深い暗闇へ落ちようとしている中、ブカレスはさらに話を続ける。
「風精の国の宮廷魔術師長、現在はラプラタと言う女性がその地位にありますが、その地位の前任者はかつて時間に関する魔術を研究されていたと聞いたことがあります」
「時間……?」
「はい。その研究が成功したか、その者が今はどこで何をしているのかは正教でも解りませんが、仮にその魔術が完成していたならば、王女殿下の願いも叶えられるかもしれません」
時間を操る魔術。
そんな事が可能なの?
途方もなさすぎて、とても現実味が無い。
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