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「お二人ともかなり筋がいいですよ。元々ワーカーをやっていただけはあります。これなら明日には僕たちがいなくても平気ですよ」
「やったな!」
ケントのお世辞に、メメンプーがいちいち黄色い歓声を上げる。ケントたちがいなくなったら、二人ともあたふたして巨大生物の餌になるのがオチだろうがな。
「ですが、油断しないでください。万が一巨大生物に遭遇したら終わりですから」
「メメンプーにゃあ、良い相棒がいるんだから大丈夫だろ」
ウォルシュの「相棒」という言葉に、メメンプーが声のトーンを下げる。
「相棒というか……腐れ縁だな」
「親子で腐れ縁はないだろう」
「あ! コロニー管轄区域の入口が見えましたね」
ケントがライトで照らす先には、ピンインの管轄区域でも見た丸い扉が見えた。
四日間、九十時間以上の旅が終わり、ようやく隣接するコロニー・ジョリ・ジョリ―の管轄区域にたどり着いたのだ。
管轄区域という言葉に疲れも吹っ飛び、自然と安堵の息が漏れた。
俺は電子煙草を咥え、ケントに礼を言おうとした――が。
その瞬間――爆発音とともに右側斜め前の壁が崩れ、巨大な「くちばし」のようなものが――。
ケントたちの乗る作業ロボの胴体を貫いた。
PCグローブの機能で目の前に表示されていたケントの引きつった顔にノイズが走る。
巨大なくちばしは、死肉を漁るように何度も作業ロボを潰す。
ロボットの四肢がバラバラに飛び散り、周囲にオイルとケーブルをぶちまけた。
ライトで照らされた道には、ミンチになったケントかウォルシュだった肉の塊が跳ね跳んで、赤い池にライトの光が反射していた。
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