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だまっていればの桜子さん ~彼女の履歴書~
――私は淘汰されていくモノたちにしがみついているだけなのかもしれません
――僕は、君を、御影桜子さんのことを絶対に忘れない
彼女はゆっくりと瞳を開いた。
横たわらせていた体を無理やり起こしてみると、そこにはピンクや黄色の絵の具を散りばめたようなお花畑が広がっていた。
柔らかい風が彼女の頬を撫でる。
「ここは……どこ……?」
ぼんやりとした頭で辺りを見渡すと、一際大きい黄色の花が目に入った。
その花はだんだんと大きくなってくる。
「黄色……いや、金色?」
「うおーーーーーーい!! そこのお姉さーーーーーん!!!」
突然、少年の声が耳に飛び込んできた。
目を凝らすと、金髪で学ランを着た少年がバタバタとこちらに向かって走ってくる。
両耳には3つのピアス、そして何より獲物を捕らえるかのような鋭い目つき。
金髪少年が彼女に照準を合わせたと同時に、彼女の体がぶるっと震えた。
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