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第1章~彼女の残した遺書~
それは、突然鳴った。
先日別れたばかりの彼女の携帯番号から一件の着信。
喧嘩したわけでもなく、わだかまりもない。
すれ違いというか、気持ちの違いが別れの理由だった。
愛せると思っていた。
彼女のことを誰よりも深く愛せると思っていた。
だけど、無理だった。
愛せなかった。
付き合ってから1年間
努力はしたがどうしても彼女を愛することはできなかった。
伝えると彼女は微笑んで別れようと告げてきた。
あっさりと別れを告げられ、ホッとしたのを覚えている。
泣かれたり、怒られたり、そういう感情的な所をぶつけられることがどうしても苦手な俺は彼女のそのいつもと変わらない態度に感謝していた。
言いたいことも、あったろうに。
俺を一番に考えてくれた彼女の行動は本当にありがたくて申し訳なくなる。
よくできたこの彼女を愛せない俺に問題があるのだ。
だから彼女には幸せになってほしい。
そう願っていた。
まさか、彼女の死を知らされることになるとは知らず
彼女からの着信を受け取った俺は、携帯電話を床に落としてしまうことになった。
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