第1章~彼女の残した遺書~

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好きだったんだよ 本当に あんたはなにも知らないだろう なんにも分からないだろう だけど好きだったんだよ 今度こそ幸せになれるとおもった 今度こそ愛してもらえるとおもった 私は愛される資格があると思えるはずだった 傷ついた人の心にズカズカ入ってきて綺麗に掬い上げといて、奈落に突き落とすのかあんたは 最初から言っていたじゃないか 悩みも、全部話したじゃないか 知っていて、知っていて私にそれをするのか その行為を繰り返すのか あんたを恨めば、随分と楽になるだろう あんたを憎めば、随分と楽になるだろう 恨んで憎んで、叫んで、怒り狂えば 苦しみからは脱却できるのかもな 私にはそれができない 知っているくせに 人を恨むことも、憎むこともできない 私という存在が要らないと決定されただけのこと だから、悲しいよ 苦しいよ 辛いよ 笑うことしかできなかった 馬鹿になることしかできなかった 傷ついて苦しんでも、愛してくださいとは言えなかった 自分で自分を愛せない私が人に愛されるわけがない だから、私は死を選んだ。 死を選んだんだ。 誰にも愛されないなら 自分さえも愛せないなら こんな命は不必要だ。
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