お悔やみ様

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当日までの宿題として三つ、発表する怖い話を考えなくてはなりませんでした。 みんな一つ目は自分が体験した心霊体験を、二つ目はよくある怪談話をリメイクしたものを考えているようでした。 三つめは当日の空気で創作して乗り切ろう、と考えている人が多かったです。 その日を迎え、夜の19時に学校に集合しました。 夜の学校というのはとても不気味で、誘導灯がやけに恐ろしく見えるものですね。 みんな思っていたより空気に呑まれていて、教室に集合してもなかなか始めようとはしませんでした。 けれどクラスの誰かが「早くしないともっと怖い時間帯になっちゃうと思う」と口火を切り、やっと出席番号順で百物語を始めました。 最初は実体験を元にしていたので、どれもリアリティがあって怖かったです。 けれど二巡目になるとどこか聞いたような創作物ばかり連続して、みんな空気に慣れたのもあって正直ダレていました。 三巡目になり、95話目に出席簿で指名された「篠崎みさき」さんは、私と同じ地味な女子でした。 彼女は一回目と二回目、どんな話をしていたっけと思いながらいると 不意に「私の祖母が住んでいる集落の因習、お悔やみ様を話します」と語り始めました。
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