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翌日目を覚ますと、祖母はいませんでした。
祖母が早朝に山登りをしに行って山菜などを採りに行ってしまうのはいつものことなので、
帰る日は挨拶しないまま別れるのは通例でした。
車に乗り込んでから私は親に、人形を流す意味を恐る恐る聞きました。
母は「人形は死者を慰めると同時に、私は生きているから連れて行かないでって
そんな意味があるって聞いたことがあるわ。昔お悔やみ様をやっていなかった頃は、
夜中に死者が知人の家を歩き回って一緒に連れていこうとしたんだって…
お悔やみ様をするようになってから、そんなことなくなったって聞いたけど」
本当には信じてなさそうな口調で、母はそう答えました。
その時母のケータイが鳴り…私達は祖母の家に引き返すことになります。
祖母が土葬場の川で見つかったんです…遺体となって…
私はそれからその集落には一度も行っていません。
何故なら集落の老人達には【祖母殺し】として認識されていますから。
これで95話目を終わりにします…」
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