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梅雨の雨は乾く間もなく屋根や道路を濡らしていく。近所の小学校では池から溢れた水に追い出された金魚が死んでいた。氾濫した川を覗き込んだ子供は頭から落ちて溺れるだろう。手向けられた花も風で飛ばされる。徘徊老人の立ちションが下水道を通って地球の裏側に命の水となって降り注ぐ。不思議だよな。水はこんなに有り余ってるのに。届かない人には決して届かないし必要のない人にばかり与えられる。それは水だけの話じゃない。
てるてるぼうずの足はもうすぐ床につく。こんなの迷信だ。それでも雲間から光が差し込んできた。今夜にはてるてるぼうずがひとつ増える。明日には梅雨も明けるだろう。
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