序章 掃き溜め

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序章 掃き溜め

エリア-33 第28番地区 旧鉱山都市 ゾナー 鉱山都市ゾナー、かつてそこは金属鉱物が大量に取れ、様様な企業が開発に助力、そして大都市に発展していった。しかし経済的価値の変動、資源枯渇等といった理由で廃れていってしまい現在は廃棄された無人都市となっている。 「ハァッ...ハァッ....クソッ...クソッ!何でっ、なんでぇっ...??」 そんな廃棄された都市、ゾナーの街中を息を切らしながら必死に走り回る男が居た。男の様子は酷く怯えており、身体の至るところに怪我をしたのだろうか、ボロボロの衣服から血が滲み出ている。 必死に逃げる男の背後から陽気そうな若い男の声が掛かる。だがその声は人間と言うより、何処か機械の音声の様に聞こえる。 「やぁー人間君?そろそろ逃げるのに疲れたろう?今投降すれば、"命"だけは助けてあげよう。」 「ひぃっ??」 声を聞いた男は一層逃げる脚を速くし、とある廃ビルに転がり込む様に入った。廃ビルに入った男は中を走り回りトイレに駆け込んだ。 トイレに鍵を掛けてその場で膝を抱えて座り込む男 、その顔は恐怖に染まりきっている。しかし、トイレに入って休息が取れたのか男の様子は平静に戻っていく。 段々と平静に戻った男は今度は怒りが込み上げて来たのか、ドアを叩きながら愚痴を漏らす。 「ちくしょうっ!どうしてっ!どうして此処にあんな"機人"がいやがるんだくそっ!」 「うまくいく筈だった!バレてなかった筈だった!なのに何でっ!...くそぅ...うっ...うう...」 怒りをぶつけていた男だが、怒りをぶつけにぶつけ 今度は涙が込み上げてきたのか泣き出してしまった様だ。 (なんでっ、なんでなんだ...どうして...こうなってしまったんだっ...こんな事になるなんて...オレは聞いてないぞ...!) 男は心の中で己の行いを悔いる様に思う。 (ああ...オレは何処で間違えたんだろうなぁ...もしも過去に戻れるなら...今すぐ戻りたい...) そうして男は走馬灯を走らせるかの様に回想を始めた。
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