プロローグ

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次の日も。また次の日も。 いつしか父の言葉を、真剣に聞けなくなっていた。 自分の人生?自由?自分は、何なのか・・・。 その後の稽古は、1時間を終え、オオヒキは、声をかけずに 立ち去ってしまう。 確かめたい。”自由”とは、なんなのか。 自分の人生とは、何なのか・・・。 それからオオヒキとの6回目の稽古が、終わり いつもの様に去ろうとするオオヒキに、烏は、問いかけた。 「“自由”を手にするには、どうすればいい?」 オオヒキは、嬉しそうに答えた。 「世界を知ればいい。王子・・・。貴方様は、この国で、生涯を終えるには、勿体ないと感じます。」 「ならば、方法は、在るのか?」 オオヒキは、不気味に笑い、烏に答えた。 「私の言う通りに、動きなさい。」 その夜、国に、大勢の傭兵が、国に攻め込んできた。 国に仕える傭兵は、慌てて国王へ連絡する。 「そんな馬鹿な話が在るか!この国に、攻め込める訳がないだろ!この国は・・・!!」 その瞬間、伝えに来た傭兵が、突然倒れ、血を流す。 傭兵が立っていた所に、マスクを被った男が剣を持って、立っている。 「貴様・・・何者だ!?」 次の瞬間、一気に、国王の心臓を持っていた剣で、力強く突き刺し 国王は、倒れ込む。 やられまいと、国王は、男のマスクを奪い取ると、 その男は、自慢の息子 “烏”だった。 「烏・・・。貴様・・・何故?」 烏は、剣を抜き国王を斬り付ける。 何度斬っただろうか。いつしか自分の父親は、冷たくなっていた。 しかし、烏の中で、不思議と後悔は、なかった。 寧ろとてつもない解放感を得た。 これが“自由”か・・・。 そこへ、オオヒキが現れ、烏の肩に手を置き 烏に呟いた。 「ようこそ、自由へ」
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