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どのくらい経ったのでしょうか。
私が感じている時間の流れというのは曖昧で、確かな時間は分かりませんが、ふと顔を上げると、虹色の水溜りに文字が浮かび上がっておりました。
“あなたのもとへ”
「・・・博さんがここに、私の元へと帰ってくるのですね?あぁ・・・なんて喜べばいいのか。ようやくお逢いすることができるわ・・・ですがそれはいつ頃に・・・いつになったらここへ来て下さるのですか?私にはもう、時間がないのです」
私は彼といつ逢えるのかもう一度聞いてみましたが、虹色の水溜りは彼が私の元に帰ってくることだけを告げると、周りと同じように、ただ灰色の雲を映すだけの水溜りになってしまいました。
「あぁ、そんな・・・消えてしまったわ。博さんには早く来てもらわないと。早くしないと私は・・・」
答えを聞けないまま普通の水溜りに戻ってしまったのは残念ですが、彼がここへ来ることが分かった今、私に出来ることはただひとつ。
彼との約束を守るため、私の時間が許す限りこの町で待ち続けなければ―――
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