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1・墜落
1978年8月。この日の羽田空港は夏休みということもあり、多くの家族連れや行楽客で賑わっていた。夕食時間にあたる18時近くのためかレストランも夕食を済ませる客でごった返している。
軽食コーナーで一人ホットコーヒーを飲みながら行きかう人々を眺めている女がいた。スラリとしたスタイルには紺色のパンツスーツをまとっている。首に巻いた淡いピンク色のスカーフ。艶やかな黒く長い髪をもしピシッとまとめていたらスチュワーデス(客室乗務員)と間違えてしまうような高貴な雰囲気を漂わせていた。年は20代前半に見える。
『東日本航空から出発便のご案内をいたします。
EJA長崎行き、18時30分発、213便は、ただいま皆様を機内へとご案内中でございます。長崎行き、18時30分発、213便をご利用のお客様は保安検査場をお通りになり、8番搭乗口よりご搭乗ください』
そのアナウンスを聞き、腕時計を見る女。不意に立ち上がり会計に足を運ぶ。その後足早に公衆電話が並んでいる位置まで向かうと、ハンドバッグから財布を取り出し小銭を数枚挿入した。
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