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 2018・8・4(土)  僕はしがない探偵だ。家は川内川沿いにある。すぐ近くに住む青木ってヤクザ者が奥さんに刺し殺される事件があった。  木嶋って鹿児島県警の刑事は僕の幼馴染みだ。  農村カフェでくっちゃべっていた。 「アトランティスって知ってるだろ?」  僕の父親は考古学者だ。 「一夜にして海に沈んだ島だろ?」 「そうそう、アトラントローグならプラトンは知ってるだろ?」 「アトラントローグ?」 「アトランティスの研究家だよ」 「イヤ、俺は刑事だけど?」 「『ティマイオス』とか知らないのか?プラトンの代表作だ」 「プランクトン?」 「ダメだこりゃ」  アテネと戦った直後、大地震が起きて次に洪水が起きてアトランティスは沈んだんだ。  クーデターが起きて、東日本大震災規模の震災が起き、西日本豪雨が起きれば日本は壊滅的な打撃を受けることだろう。僕はこの街が嫌いだ。  日本を壊滅することは無理だが、この街くらいなら潰せるかも知れない。 「マヤ文明なんかも面白いよね?」 「マヨ文明?マヨチュッチュッ」 「懐かしいな?慎吾ママ。マヤやインカには壮大な神殿があったんだ。行ってみたいと思わないか?」 「クロノトリガーみたいだな?」 「カエルはナカナカ愛らしいよな?アナログなカエルは気持ち悪いけどさ?」  僕はゴボウチップスを食べて、カプチーノを飲んだ。 「ハハハ」 「『海底2万マイル』はナカナカ興味深いよ」 「ベストセラーか?本はあんまり読まないよ?競馬新聞だったら読むけどな?」 「海底遺跡を見つけてネモ船長は、アトランティスの存在を実感するんだ。ジュール・ヴェルヌはスゴいよ」 「海外かよ?いつの時代の人だ?」 「1869年」  ある噂がある。人間を100人以上殺すとタイムマシンがやってくるらしい。  死んだ青木には恵里佳って愛人がいた。  恵里佳の家の物置小屋からは全裸の女性の人形が見つかった。この人形が仕掛けられると、その家の女性は浮気性になると伝えられている。  その夜は木嶋と僕の家で飲んだ。  遅かったので泊めてやった。  翌朝、木嶋がモジモジとやって来た。 「どうしたんだ?」 「パンツ貸してくれないか?」  木嶋のバックには放尿している人形が仕掛けられていた。こりゃあ大変な事件だ!   僕のタンスの中にも放尿人形が仕掛けられていた。人形を焼却炉で燃やすと、隣のマンションの屋上から人が落ちた。 
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