雨の日は嫌だ

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「しまった。出しておくのを忘れてた。」 またドアを開けて、玄関の中に入り、大きなゴミ袋を開けて、保育園の荷物の下になっていたバッグの中から鍵を取り出した。もどして、急いでドアを開けると悠太と亮太が雨に打たれて待っていた。あらあら、あらあら。 「ごっめんねー。すぐ行くからね」 鍵を閉めて、掘り込みガレージへ。自転車の前かごに荷物を置き、まず後ろに悠太を乗せた。次にハンドルのすぐ後ろに亮太を乗せる。晴香もサドルにまたがり、そろそろ、そろそろと足でガレージの端まで移動。外はザーザーと強めに雨が降っていた。一瞬ひるみそうになる心を奮い立たせ、大きく深呼吸した。 「さあ、行くよー」 声をかけて、勢いよく雨の中へこぎ出した。そのさまは、さながら突撃という言葉がぴったりの勇ましい光景。そういえば、悠太のお友達のママが「カッパ隊」と称していたが、いい得て妙だった。
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