早めの再開は駅前で

1/1
前へ
/6ページ
次へ

早めの再開は駅前で

私と蛍は雨に打たれてビショビショになりながら駅へ駆け込みました。天気予報では雨なんて一言も言っていなかったのに。やられた感でいっぱいだったけれど、準備不足と言ってしまえばそれまでなのかなと。でもまさか、駅前で再びあの人と再会できるなんて思いもよりませんでした。サングラスをかけてタバコをふかす男の人がジッとこちらを見ているものだから、最初は恐ろしかったけれど、よく見たら明月院で出会った男の人。その事実に気付いた瞬間、私の心臓は細かに脈を打ち、走り幅跳びに向かうアスリートの歩幅の様にその速度を速めていきました。どうしようか、でもあんなにもまっすぐにこちらを見つめているなんて、きっとあの人も私の事を気になっているのだと気づくことが出来ました。私は蛍に本当の事を伝えると、足早に彼の元へ向かいました。 「あの・・・」 「はい?」やばい!ジッと見過ぎた! 彼は吸っていたタバコを灰皿に押し当てると、出会った時と同じように小さく微笑みました。 「先程、お会いしましたよね?」 「あっ、先程の?」言われて気付いた。明月院で出会った女学生だ。 「そう、覚えてくれたのですね?」私の予想は的中してそうです。そう思えば思う程、鼓動は更に高まるのです。どうしよう! まずい。こんな近距離でそんな初々しい笑顔でそのスケスケのエロアートを俺に見せつけないでくれ。近すぎて緊張と興奮の津波が押し寄せて来る。 俺はどうにか胸の高鳴りが収まることを願い、胸をぐっと押さえ付けた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加