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 いつの間に用意していたのか、光司が封を切ったのはコンドームで、ぬるつくそれを中指にはめられた。思わず喉が鳴った。薄い皮膜を被った指を先ほどと同じところにそっと置いて、少しだけ押し付けてみた。 「ん……そう、ゆっくり」  目の前で光司の繊細なまつげが震える。そんなところを触るのは初めてで、痛くないのかと心配になる。コンドームの滑りを塗りつけるように動かすと、そこは想像より柔らかかった。半分伏せられた瞳が潤んで揺れる。 「中、いれて、大丈夫……準備してるから、痛くないから」  さっきまで笑っていたのが急にしおらしくなって、その落差が心配になった。この中に挿入するなんて無理な気がする。それでもゆっくり押し付けると、中から粘つくものが溢れて指が飲み込まれた。 「なに……これ」 「ローション……さっきやってきた……そのまま、動かしてみて」  第二関節まで飲み込まれた中指は、ぎっちりと締め付けられていた。ほんの少しだけ指を曲げるようにすると、中の柔らかな肉の壁がわかる。内臓の柔らかさだと思った。そんなところを触っているという事実が怖くて、目の前の光司の顔をじっと見る。 「何……こわい?」  潤んだ瞳が見つめてくる。低く震える声はそれでもまだまだ余裕で、友宏の浅い位置にある欲情を引っ掻く。何も言えなかったけれど、光司にはわかったのだと思う。 「おれは、お前にしてほしいんだけど」     
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