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「もっとして……きもちいい……。トモ……大好き」  初めてまともに言われた。  なぜだかそれで胸がいっぱいになった。苦しいような愛しさがこみ上げて、思わず手を伸ばして光司の顔を引き寄せた。ぜんぶわかっている、みたいな顔をした光司が微笑む。その優しい目に何も言えなくて、光司も何も言わなくて、どうしようもなくて目を合わせたまま口を塞ぎあった。口の中も、奥まで飲み込まれた内臓の中も、火照ったように熱くて溶かされそうだった。 「トモ……すき」  口の中に囁かれる。それにどう答えればいいのか、その時はわからなかった。 「うれしい……」  その時は、うわごとみたいに呟く光司がすべて代弁してくれているような気がした。自分は好きとも嫌いとも言っていないのに、なにもかもわかられている気がして、こんなの順番がおかしい、と思いながらも流されるまま腰を押し付けた。光司はずっと嬉しそうで、幸せそうで、狡いような悔しいような気がする。どうしていいかわからないまま腰を押し付けて、名前を呼んで、そうしたらあっという間に射精してしまって、腰の上で光司がだらしなく微笑む。 「まだできるだろ?」     
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