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 自分はああいう顔が好みなのだろうか。  睦月と光司が並んだところを想像してみた。  血の繋がった兄弟なのに、二人は雰囲気がまるで似ていない。よく見れば顔はそっくりなのに、立ち姿や仕草、表情は全然違う。  弟に会ったと言った日、光司は笑っていた。一目見てすぐに弟だとわかった。小さくてかわいくて、少し人見知りなところがいじらしい。あまり笑わないけど、たまにはにかんだように笑う顔がすごくかわいくて、たぶん向こうもおれのこと好きだから早く仲良くなりたい。そんなようなことを言って友宏を見つめた。  たぶん、トモも大好きになるよ。いい子だったし、優しそうだった。  初めて会う弟のことを話す光司は嬉しそうだった。  確かに睦月はいい奴だ。小さくてあまり笑わなくて、たぶん少し人見知りなところがあって、なにより優しい。  そうだ。光司を失ったのは、自分だけではない。  唐突に気付いて、情けなくなった。     
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