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 光司と似た顔が友宏の目線の少し下にあった。感情が読めない瞳がじっと見上げてくる。上目遣いの視線が不意に細められて、ありえない感覚に心臓が縮む。目の前で、もう死んだはずの光司が笑う。  白い両手に頬を挟まれた。その仕草も力の強さも光司のものなのに、手だけが小さくて記憶が捻じ曲がる。強引に引き寄せられて、薄い体に抱きしめられる。力のない細い腕が、友宏より小さい体が、よく知る強引さで抱きしめてくる。 「よしよし」  耳元で囁く声は、甘く、低かった。 「そんなに我慢ばっかりしてたら潰れちゃうだろ、トモ」  捻じ曲がる感覚の中で、その声は光司そのものに聞こえた。抱きしめる力も、頭を撫でる手も友宏よりずっと弱くて小さいのに、体が抵抗できなかった。  泣かせてもらえれば楽になれる気がした。  光司の腕の中で、光司の不在に泣くことができたらきっと楽だった。  でも、速風光司はもういない。  あの体は焼かれて骨になった。拾った骨は思ったより太かった。光司は華奢な見た目よりずっと体格が良くて、用意されていた骨壷には簡単に納まってくれなかった。そんな面倒くさささえ光司らしいと思った。焼け残った白い骨に箸を突き立てて、折って、砕いて、そんなに簡単に壊れてしまうことにどうしようもない喪失を感じた。光司はあんなに力強かったのに。友宏が抵抗できない力で抱き寄せて、満足するまで絶対に離してくれなかったのに。     
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