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 マミは照れたように笑った。たぶんめちゃくちゃ緊張しているだろうに、控えめで感じのいい子だと思った。睦月はよくわからない奴だが、高校の友人と聞いて、そういえば睦月の人間関係を何も知らないと思った。睦月は大抵家にいるので、それ以外の生活が想像つかない。 「いま、睦月と一緒に暮らしてるんでしょ? 睦月から聞いてびっくりした。睦月、変な子でしょ」 「ああ、うん」  他人の口から睦月のことを聞いて、妙な気持ちになった。三月からずっと、もう当たり前のように一緒に暮らしているが、世間的にはルームシェアとかいうことになるのだろうか。 「睦月って、高校の時どんな奴だったの」  普通に高校に通う睦月というのが想像できなくて聞いた。そういえば葬儀の時は制服を着ていた気がする。睦月は大抵家で眠そうに適当な格好でうろついているので、普通に制服で高校生をやっていたというのがよくわからなかった。もっとも、それは友宏がまともに全日制の高校に通ったことがないからかもしれない。中学を卒業して一度は普通の高校に通ったが、仕事に集中するため途中で通信制に転校した。 「……睦月、最近なにかあった?」  マミがカフェのざわめきに滑り込むような声を出した。さりげないのに鋭いような言葉に一瞬驚いた。目の前のマミは友宏の表情を見てすぐに、こちらを安心させるような笑顔を見せる。     
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