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 それでも、睦月と光司は兄弟で、家族だった。  悲しくないわけがない。苦しくないはずもない。それなのに、睦月は葬儀の日からいつも同じ顔で、平然と友宏の隣にいる。友宏の横で、光司の代わりにさえなろうとする。 「ごめんね、なんの話ししてんだろ。なんか、睦月この間からちょっと変で、私も気になってたから」 「ううん、ありがとう。俺も睦月よくわかってないから、助かる。睦月、いつもあんなんだし」 「わかる。睦月ってちょっと変だよね」  アイスコーヒーの氷が溶けて音が鳴った。薄くなったコーヒーをストローで啜ると、マミが急に真っ赤になって下を向いた。 「え、なに、どうしたの」 「う……あの、また緊張してきた……」 「え?」 「だって、その、ずっと好きで……うわ……狭間くんが目の前にいる……」  マミが目の前で顔を覆ってしまったので慌てた。普通に話していたが、そういえば友宏すら名前を把握しているくらい長くファンでいてくれている女の子だった。慌てている間にぽーん、と間抜けな音がして、睦月からおわったー、とラインがきていた。と思ったらすぐ横に睦月が立っていた。 「おまたせ。なにしてんのマミ」  手ぶらの睦月がぼんやりと言った。     
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