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「サイズ言ったらマミに怒られるから言わない」
「睦月女の子よりずっと腰細いし足も長いからキライ……私より軽いし、写真で見たら睦月めっちゃ顔かわいいしずるいそのへんの女の子よりかわいいじゃん……一緒に写んなきゃよかった……」
「マミかわいいよーふてくされないでー」
それから睦月とマミが脈絡なくだらだら話すのをなんとなく聞き流して、睦月がカフェラテを飲み終わったあたりでマミと別れた。マミは別れ際に真っ赤になりながら友宏に手を振った。
帰りの電車はギリギリ二人で座れた。座った途端睦月は猫のようにあくびをした。
「喪服って高いんだね。びっくりした」
「あー。俺事務所からもらったから」
「疲れた……一駅前で起こして……あ、マミにライン教えといたからあとで写真くると思う……」
「勝手に教えるなって……いいけどさ」
言うだけ言って、睦月は隣でリュックを抱えて目を閉じた。白くて静かな寝顔だと思った。睦月はいつも静かに眠る。
マミの話を思い出した。
夜中に必ず目が覚める睦月。ずっと母親と二人暮らしで、外から見ているだけでも何か大変な思いをしていただろう睦月。
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