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 実家に戻った途端しっかりしたように見える睦月が聞いてきた。法要が終わったと思ったらすぐに睦月はジャケットもネクタイも外して、暑そうに襟元のボタンを二つほど開けた。 「あ、むっちゃんお母さんやる」 「おれもいくよ。友宏、麦茶でいいよね。父さんはコーヒー?」 「あのね、お父さんのコーヒーは冷たくしてるのがあるの。麦茶も昨日作ったのがあるの」 「お母さん準備したの? えらいね」  聞いたはいいが返事を聞かずに睦月は母親と台所に消えた。睦月の伯母は法要が終わるなり用事があるのだと言って帰ってしまい、友宏は睦月の父――つまり、光司の父と二人、リビングに残された。 「久しぶりだけど、思ったより元気そうで安心したよ」 「あ、はい。すみません、四十九日からずっとご挨拶にも来られなくて……」  高い位置から声をかけられて少し動揺した。光司の父は光司と同じくらい背が高い。友宏だって平均よりは大きい方だが、それよりさらに上から視線が来る。 「いや、忙しいんだろう。睦月からたまに聞いてるよ。ま、座りなさい」 「失礼します」     
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