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 促されて広い食卓に座った。睦月の実家は高級マンションの一室で、モデルルームみたいに広くて清潔だ。日本に越して来たときに買ったのだと光司が言っていた。数ヶ月このマンションで暮らして、それから光司はあの家に移った。父が取り壊そうか迷っているのをまるごと貰ったのだと言っていた。  台所で睦月と母親が何か話している。二人とも声が小さくて響かないので、中身まではわからない。 「睦月とはうまく暮らしてるみたいだね」 「はい、よくして貰ってます」  喪服のジャケットを脱ぎながら言われて、緊張した。初七日の日にこの人に言われたことを思い出した。追い出すつもりはない。しかし、あそこに住まわせておくわけにもいかない。 「睦月もね、たまにこっちに顔を出してくれるんだよ。僕と睦月は親子だが、会ってからまだ一年も経っていないしね。母親の様子を見に来てる、っていうのもあるんだろうが、気を遣ってくれてるんだろう」 「睦月は、優しい奴だと思います」  睦月が光司と出会ったのは去年の十月のはずだ。その頃、光司は家族が増えるらしいのだと友宏に嬉しそうに話していた。同じ時期に父と会ったのだとしたら、確かに一年も経っていない。     
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