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友宏から離れてベッドの上に座り込んで、睦月は居心地悪そうに頭を掻いた。
「おれだって、友宏のこと欲しかった」
あかるいくしゃくしゃの猫っ毛が、西陽を受けて儚く透けた。
「あのさ……それ、なんか告白に聞こえんだけど」
いろいろ考えた結果、極めてストレートに聞いた。相手は睦月だ。視線や声に感情が乗らない分、睦月の言葉はそのままの意味を持つ。
「おれも言ってから気づいた。気づいた瞬間に失恋してるとかおもしろいね」
なんでもないことのように言われた。睦月の言葉は客観的で平坦で、そこに睦月自身の感情の動きなんて含まれていないように思えた。
それでも、五ヶ月暮らしたからこそわかる。睦月の言葉に嘘はない。睦月はいつでも平坦で無表情な分、言葉にすべての意味が乗る。
情けなくなった。無表情に目を逸らす睦月に、心の柔らかいところを鷲掴みにされた気がした。
たぶん、自分は、睦月に恋はしない。
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