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 聞くと、睦月はまた首を傾げた。ほんの少し眉を寄せて友宏を見つめる。 「違うよ」  誤魔化しは効かなかった。睦月はじっと他人を見る。見つめて、観察して、求めるものになろうとする。そんな相手になにを誤魔化せるだろう。  わからないのなら何度でも言うしかない。睦月がくれた思いやりや優しさに比べれば少しの恥ずかしさなんてどうってことはないはずだ。光司ならきっと何度だって言った。睦月が笑って懐いた光司。光司になることはできなくても、そのやり方を受け継ぐことはできる。 「同情とか、そういうんじゃなくて、これは……」  うまい言葉が見当たらなかった。ずっとなんでもわかっているような光司に甘えてまともに口にしてこなかったから、うまい言葉が思いつかない。考えた。睦月の目を見つめることはできなかった。睦月は黙っている。無表情にじっとこちらを見ている。  息を吸った。心を落ち着けるために一度深呼吸をした。なにを考えてもちょうど良くは思えなくて、歯の浮くような言葉しか見つけられない。気恥ずかしくて、それでも、言うべきだった。光司はきっと迷わない。なんだって堂々と口にする。それが好意であれば、躊躇ったりしない。 「愛情」     
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