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 ぼんやりと言われた。深い意味はないであろうその言葉がいじらしくて、胸の上の頭を軽く撫でた。胸にかかる軽い重みが愛しい気がした。  これと同じ重みを、ここで感じたことがある気がした。 「そういやお前、たまに寝てる時にくっついてくるよな」 「うえ?」  思い出しながら言うと、睦月が妙な声を出した。 「最初寝ぼけてんのかなって思ったけど、よく考えたらお前かなり目ぇ覚めるまで寝返りとかできないじゃん」 「う……だって、なんか、隣に友宏の体あると安心するし」 「まあ、いいけどさ」  時々、夜中に睦月が背中に触れてくることがあった。最初は寝相の問題か寝ぼけているかだろうと思っていたが、ベッド自体がかなり広いし、そもそも睦月は寝ぼけていたら動かない。体の電源が入るより先に頭の方がしっかり覚醒しているから、睦月が動くとすればかなり目が覚めているはずだ。 「おれ、光司と間違われてるんだと思ってた。友宏たまに引っ張ってくるから」 「正直間違ってる日もあるけど、最近はわかるし」 「起こしちゃってた?」 「いや、そうでも。なんか背中にあるから具合いいとこに置きたいだけだし、相手お前だから、いいかなって」  睦月が言葉を飲み込むまで、しばらく間があった。     
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