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 胸の上で睦月がぐったりと力を抜いた。  その様子に浮かれたような気持ちが流されて、胸の上に視線を戻す。 「おう。昼寝する?」 「しない……あのねぇ、冷蔵庫にある焼きそばとキャベツ、今日か明日使っちゃわないとやばいと思う」 「じゃあなんか作るか……」 「うん……。あ、光司拾ってこないと。落としてきちゃった。光司、怒るかな」 「怒んないだろ。うるせぇかもしんないけど」  睦月が起き上がった友宏も起き上がると、睦月がへばりついていたシャツの胸の部分が涙で湿って皺だらけになっていた。 「お前シャツぐしゃぐしゃにしすぎ」 「うわ、ほんとだ。まあでもすぐ洗うし」 「クリーニング出せば。どうせ喪服はクリーニングだろ」 「おれアイロン得意なのにもったいなくない?」 「まあ……いいけど」  どうでもいい話だな、と思いながら、なんとなく目を合わせて少し笑った。睦月が無防備に表情を緩めるので、子猫かなにかに懐かれているような気がして息が苦しくなった。  さっきまで頑なに閉ざされていた表情が、目の前で柔らかく緩められる。  急に、恥ずかしくなるような気がした。     
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