931人が本棚に入れています
本棚に追加
動こうか迷った。迷ってすぐに、睦月に回りくどいことはしないでおこうと思った。気が回りすぎる睦月のことだ。きっと友宏が迷っていることも、気配は察している。
「背中と、前。どっちがいい」
天井を向いたまま聞いた。睦月は隣で少し迷って、呟く。
「前」
寝返りを打った。睦月の方に向き直って、腕を伸ばした。
暗闇の中で、睦月がおずおずと近寄ってきた。恐る恐る腕に乗せられた頭を抱えて、ずれたタオルケットを睦月にかけてやる。
「頭、もうちょっと上。そこだと腕痺れる」
「……これくらい?」
「そう……首んとこに腕が入る感じ」
二人でごそごそと体勢を調節して、具合のいいところで互いに腕を回した。抱えた睦月は小さかった。
「光司ともこういうのした?」
「たまに。でもあいつ寝相最悪だったし、デカいから収まり悪かったけど」
「友宏が腕枕する側なんだ」
「どっちも。したりされたり」
「光司の腕、どうだった?」
「どうって……硬かった」
「ふうん……友宏の腕、筋っぽい」
「痛い?」
「ううん。ねえ、おれと友宏って、セックスするの?」
「は?」
なんの脈絡もなく言われて目を開けた。暗闇の中、睦月は真面目な顔でこちらを見ている。
「告白で、キスで、同居してて、その次ってセックスじゃない?」
最初のコメントを投稿しよう!